仙台医療センターのウイルスセンターで、
実際にPCR検査を行っている西村秀一氏の寄稿を紹介します。
PCR論争に寄せて─PCR検査を行っている立場から検査の飛躍的増大を求める声に
(日経メディカル)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202004/565349.html
要約すると、
検査技師が人間であることを無視して、世論の突き上げに従って
PCR検査をどんどん行ったとしても、偽陰性と偽陽性があり、
また、陽性であっても、そのウイルスが「生きているウイルス」とは
限らない。
こうした検査結果についての適切な解釈ができないのに、
これまでのように絞り込むことなく、むやみに検査を行っても、
それは単に「形式を踏むだけのもの」になる。
検査には、何種類もの試薬を順番を間違えずに加えていく
技術力が求められるもので、専門性が必要。
お手軽に人材を増やすことは
「整形外科の先生に眼科の手術をやらせる」
ようなもの。
検査に必要なRNA抽出キットがすべて輸入品で、
現在、世界各国で奪い合いになっている。
今後、無制限の検査が行われた時、キットは間違いなく枯渇する。
すると、冬に第2波が来た時、PCR検査はできなくなる。
「もっとPCRやれ! 全国民やれ!」と無責任に
煽るワイドショーは、もはや害悪です。